2021年9月から2年間、アイルランドのUniversity of GalwayへPh.D. studentとして留学した小徳のぞみです。CORRIB CORE LABに所属し、冠動脈疾患の国際的RCTを含む臨床研究でのイメージング解析を主軸に活動しました。
2021年9月は東京のCOVID-19感染者数は5000人/日と未だ多い状況でしたが、世界の臨床研究が再び動き始めた頃でした。臨床現場にはまだ混乱が残る中、快く背中を押して送り出してくれた医局員には深く感謝しています。
留学の目的は、interventional cardiology分野の巨匠Patrick Serruys教授の下で臨床研究のmethodologyを学ぶことでした。当医局からオランダのErasmus University Rotterdamへ留学し、Serruys教授の下で「生体吸収性薬剤溶出スキャフォールド」に関する研究を数多く行い、欧州でPh.D.を取得した石橋祐記先生の推薦で留学が決定しました。
私が従事した解析は、冠動脈カテーテル造影画像から冠血流を予測するangiography-derived FFRや冠動脈内イメージングを主としたものでした。欧州、アジアから集まる医師やエンジニアと共に日々議論を重ね、昼夜解析を行い、論文執筆にあたってはSerruys教授の自宅で隣に座り、一つ一つの単語の選択に至るまで熟考する毎日でした。Methodologyが確固たるものでない場合は論文の完成手前で解析を一からやり直し、涙することもありました。観光には行けませんでしたが、各国から集まるフェローとともに一緒に食事を作り、飲み、踊り、喧嘩もしました。留学前に受けたのは「このオンラインの時代に現地へ留学する必要性はあるか」という問いかけでしたが、共に現地で過ごした日々無くしてチームの一員となることは不可能だったと断言できます。
留学から帰国後の2024年に学位審査を受け、欧州でPh.D.を取得することができました。英語は未だにうまく喋れませんが、言語は留学を諦める理由にはなりません。私がそうだったように、当科より背中を押され、世界を体感する貴重な経験を得ていただくことをお勧めします。

308ページから成り、9つの主要論文を中心にthesis defenseを行った。

Patrick Serruys教授(写真左)とYoshinobu Onuma教授(右)と共に。