聖マリアンナ医科大学 循環器内科学 後期研修プログラム
当院では初期臨床研修終了後の3年間、内科専門医取得を目標としたプログラムを組んでいます。
3年間の研修で疾患群の経験を積みますが、各個人の希望を考慮しながら診療科のローテーションを行います。
サブスペシャリティとして当科を選択する場合の後期研修プログラム
概要
(1)循環器疾患全般についてオールラウンドに臨床能力、専門知識を習得する。
- ハートセンター病棟業務
- CCU管理、重症例の全身管理(IABP、ECMO、Impella、CHDF導入・管理など)
- 救命センター等での急患の対応、救命措置
(2)循環器内科における検査、治療手技について知識、手技を習得する。
- 自ら責任を持って施行可能となることを目標とする検査・治療法
中心静脈カテーテル留置、胸腔穿刺、運動負荷心電図検査、経胸壁心臓超音波検査、心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査、左室造影検査、右心カテーテル検査)、ACLS - 検査結果の判読を目標とする検査法
ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査、冠動脈CT検査、心臓MRI検査、経食道心臓超音波検査、運動負荷心臓超音波検査、心筋シンチグラフィ検査、心肺運動負荷試験 - 指導の下で施行可能となることを目標とする検査・治療法
大動脈内バルーンパンピング(IABP)、体外式ペーシングカテーテル挿入、体外式膜型人工肺(ECMO)、冠動脈カテーテルインターベンション、電気生理学的検査
(3)認定医・専門医の取得
日本内科学会 | 認定医・専門医(認定教育施設) |
日本循環器学会 | 専門医(認定研修施設) |
日本心血管インターベンション治療学会 | 認定医・専門医(認定研修施設) |
日本不整脈心電学会 | 専門医(認定研修施設) |
日本超音波医学会 | 専門医(専門医研修施設) |
日本心臓リハビリテーション学会 | 指導士・認定医(認定研修施設) |
日本高血圧学会 | 専門医(認定研修施設) |
日本心エコー図学会 | 専門医 SHD認証医 |
日本経カテーテル心臓弁治療学会 | 認定医・指導医(TAVI/TAVR指導施設) |
(4)学位取得
臨床業務と並列して積極的に学会活動に参加し、指導医の指導の下で学位取得の準備を進めます。
当医局の特徴として,大学院生以外も全員研究テーマを持ち,学位取得を目指して頑張っています。
給与 | ◎任期付助教:基本給20.9万円(昇給あり) + 当直手当 + 週1回外勤 ◎大学院生 :基本給13.5万円 + 当直手当 + 週1回外勤 その他、医局が請負っている週末外勤を希望者に割り当てています |
休暇 | 夏休み 最低6日間 + その他必要に応じて |
併設宿舎 | なし |
臨床業務に従事しながら研究を行う場合、大学院生も上記のように基本給が支給されます。
各部署での研修内容・目標
1. 心臓カテーテル検査、冠動脈カテーテルインターベンション
- 心臓カテーテル検査(診断)を安全かつ確実に行える。
- 心内圧波形を理解し、正確に読影できる。
- 検査結果から、血行再建や手術適応を含めた治療方針を決定できる。
- PCI第1助手の仕事を把握し、円滑に手技を進められる技術を習得する。
- PCIの手技を理解し、各症例に適した治療戦略を組み立てる。
- 検査、治療当日までにプレラウンドを行い、症例の経過・病態を把握する。
- カンファレンスで症例呈示を行う。
- 読影、レポートの作成、シネ読みカンファレンスで治療方針を決定する。
2. 超音波センター(心臓超音波検査)
- 経胸壁心臓超音波検査
- 経食道心臓超音波検査
- 検者として検査の実施、基本画像の描出を確実に行える。
- 画像と計測値から病変を指摘、病態を判断して画像診断ができる。
- その他
- 負荷心臓超音波検査:薬物(ドブタミン、ATP)、運動負荷心臓超音波検査の適応、検査準備、所見評価など一連の流れを学ぶ。
- 心臓超音波検査のトピックス(ストレイン、3Dなど)を含めた最新の技術を体験する。
- 超音波センターで実際に検査・読影を行う。
- カンファレンスに参加する。
3. 不整脈
- 電気生理学的検査
- 適応・方法・合併症・検査の意義を理解する。
- 正常の電気生理学現象を理解する。
- 不整脈(上室不整脈、心室不整脈)の心内心電図を理解する。
- 大腿動静脈の穿刺ができる。
- 電極カテーテルを心内の目的部位に正しく留置できる。
- カテーテルアブレーション
- 適応・方法・合併症を理解する。
- 介助を行う。
- ペースメーカ・ICD・CRT
- 適応・方法・合併症を理解する。
- 種類・一般的な機能を理解する。
- 植込み術・交換術の介助を行う。
- 一般的なプログラマ操作が行える。
- 不整脈一般
- 不整脈の診断ができる。
- 薬物治療を理解する。
- 検査・治療に参加し、現場で指導を行う。
- EPSカンファレンス
- 予定症例の検討
- 施行症例の結果および今後の方針の確認
- その他の問題症例の検討
4. 心臓リハビリテーション
- 心臓リハビリテーションの適応および禁忌を理解し、実際の手順を理解して施行できる。
- 適応疾患および施行時期によって起こりえる合併症や有害反応を念頭に置ける。
- 心肺運動負荷試験の結果を解釈し、嫌気性代謝閾値を決定できる。
- 心肺運動負荷試験の結果から運動処方を作成し、患者にそれを説明できる。
- 運動療法だけでなく禁煙・食事療法・心理的サポートなどの重要性を理解して実践できる(包括的心リハ)。
- 運動療法:ベッドサイドやリハビリ室で施行される急性期心臓リハビリに同行し、その方法を習得する。
- 運動処方:心肺運動負荷試験(CPX)で得られた呼気ガス分析の評価及びレポートの記入を行い、運動耐容能の評価を行う。
- CPXの結果を基に運動処方を作成する。
5. 心電図室業務
- 12誘導心電図・ホルター心電図の読影
- トレッドミル運動負荷心電図検査
目的・方法・適応・合併症を理解する。
原則的に1人で安全に検査を行い、診断できる。 - 負荷心筋シンチグラフィ検査
目的・方法・適応・合併症を理解する。
原則的に1人で安全に検査を行い、診断できる。
- ホルター心電図読影
- (指導医の指導の下で)トレッドミル運動負荷心電図検査施行
- (指導医の指導の下で)負荷心筋シンチグラフィ検査施行
後期研修のご案内
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心臓超音波
心臓超音波の豊富な経験を有する医師・技師のもと臨床及び研究の教育を受けることができます。
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心臓リハビリ
心肺運動負荷試験の施行は勿論のこと、あらゆる循環器疾患に欠くことの出来ない次の一手を実践できる医師を目指します。
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心不全
循環器領域では心不全患者数は今後30年間減少する兆しが無い、最も力を注ぐべき診療分野であります。
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SHD
SHDインターベンションの教育に積極的に取り組んでいます。TAVI指導医、エコーやCTイメージングスペシャリストが手厚く指導します。
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虚血
大学病院ならではの最先端の診断/治療機器を導入しており、高度救命救急センター等でのさまざまな経験を積むことができます。
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不整脈
確かな一般循環器領域の知識に裏打ちされた、不整脈専門医としてより高度な知識及び技術の習得を目標としています。
学生教育
心電図勉強会

当科では2018年から医学部学生・初期臨床研修医を対象として心電図勉強会を実施しています。
「日本不整脈心電学会 心電図検定」の合格を目標とし、多くの受験生が実際に合格しています。